2040年における人口推計が、大学教授や企業経営者からなる民間組織「日本創成会議」の人口問題検討分科会より発表されました。
三大都市圏への人口流入数は2013年には約9万人となっており、今後も毎年6~8万人の流入が続くという前提での試算になるとのことです。
大都市への人口流入は今後鈍っていくという見方もあるため、あくまでも試算例の一つということになります。
この試算で注目されているのが、出産適齢期といえる20~39歳の女性の人口の動向で、2040年には全国の約50%にあたる896の市区町村で20~39歳の女性が5割以上減少し、このうち523の市区町村で人口が1万人を割り込みます。
たとえ女性の生涯出産数が今後増えても、こうした市区町村は自治体としての存続が難しくなり、消滅する恐れがあるとしています。
高齢化が進む東北地方の秋田県や青森県では、多くの自治体で女性が50%以上減少するとしています。
箱根や日光などの有名観光地も人口が1万人を割り込む可能性があるとのことです。
こうした地方だけでなく、人口が集中するとされる首都圏でも若い世代の女性は大きく減少します。
東京都豊島区に住む20~39歳の女性は2040年には半分に減り、23区でも10~50%減る見通しとのことです。
東京都はすでに出生率が全国でもっとも低く、地方から人口が流入しても出産・子育て世代の女性の減少を補えないとしています。
大阪市や神戸市でも一部の区で若い世代の女性が半減するとのことです。
同会議は、人口減を食い止めるために、保育所が付いた共同住宅の整備を推進して子育て世代を応援することのほか、企業ごとに社員の出生率を公表させるなどして家庭との両立を促すべきであると提言しています。
国土交通省も3月末に人口の予測を発表しましたが、それによると、1平方㎞ことに分けた全国の18万地点において、その約6割で2050年には人口が半減するとしています。
また、2割にあたる約3万6000地点では2050年には住人がいなくなるとしているので、自治体消滅という事態も充分に想定できるようです。
この試算は一つの例ではありますが、人口の動向はアパートやマンションへの不動産投資の収益に大きな影響を与えるので、簡単には見過ごすことはできません。
人口が大きく減少することが予想される地域に物件を持っている場合、出口戦略について考慮しておく必要があります。
時期が来たら売却するのか、持ち続ける場合は将来に渡って需要が期待できるのか、など様々な資料を見て判断することが重要です。