投資信託協会は、有料老人ホームや高齢者住宅に投資する法人「ヘルスケアリート」に対して、長期的に安定所有するよう求める指針を作成するとのことです。
ヘルスケアリートは三井住友銀行、大和証券、新生銀行をそれぞれ中核としたグループが上場する方針を示しています。

この度の指針作成については、「突然利用料を上げるのではないか」「急に施設を売却するのではないか」という入居者の不安を防ぐ目的があります。
これらは、リート投資法人が出資者への配当をもっとも重視するために当然起こる不安であるといえますが、投資信託協会は金融庁と共同で指針を作成し、5月15日から施工するとのことです。

指針案では、撤退や売却のリスクを最小限に抑えるように求め、入居者に長期の安定した所有を目指すなどの運営方針を説明するよう義務づけています。
ただ、これが単なる努力目標であったりした場合、どれだけ入居者を保護できるかは疑問になります。

近年急成長してきたリート市場ですが、投資対象についてはオフィス・商業施設中心から拡大していく動きがあります。
高齢化社会の到来による高齢者施設のニーズの高まりは投資対象としては魅力的かもしれませんが、企業のニーズによるオフィスなどの案件と違い、高齢者の生活を支える居住施設への投資は非常に重い責任があるということを自覚しなければなりません。
こうしたリートに投資する投資家に対してももちろんそういう意識が要求されることになりますので、投資法人は投資家に対してこうしたリートの主旨を理解してもらう努力も必要になると思われ、今後の動向が注目されています。