少子高齢化社会による空き家中古住宅の増加が深刻な問題となっていますが、こうした空き家問題解消のために、国土交通省は「不動産に係る情報ストックシステム基本構想」の内容を明らかにしました。

良質な中古住宅の活用が差し迫った課題となっていますが、新築住宅より割安な中古住宅を購入する意思があっても、ニーズにマッチした中古住宅の情報がなかなか得られないこともあり、そのことで中古住宅のニーズが高まらないというのが現状です。

このような問題を解決するために、中古住宅に関する情報を一括してストックすることで、必要な情報がすぐにわかるシステムを構築し、中古住宅の流通を促進させるのが狙いとのことです。

このシステムからは病院や学校、公園、商店といった周辺施設、ハザードマップ、成約価格の推移、近隣物件情報など、必要な情報が一覧できるようになります。

集められた情報は不動産業者が活用し、消費者に十分な情報を提供するとともに、一般公開しても差し支えない情報については、不動産ポータルサイトなどを通じて消費者に広く提供する方策も検討中とのことです。

このシステムが稼働すれば、スムーズでスピーディーな取り引きが期待でる一方で多くの課題も見えてきています。

膨大な情報を正確に入力し、情報更新にも細かく対応して維持するシステムを構築する必要がある上に、ストック情報に含まれる個人情報は、確実に保護されなければなりません。

また、消費者にとって最も知りたい情報となる物件の管理履歴等に関する情報について、マイナス要素のものまできちんと取りこぼしなく収集・登録されるかどうかについても懸念があります。
物件にとって不利な情報が登録されていない場合、国のシステムであるという信頼・安心感が逆効果となって消費者に不利益が生ずる可能性もあります。
そして、これによって問題が起こった場合の責任の所在なども課題となると思われます。

このシステムへの登録を義務化するかどうかについても検討の余地があります。
現在は、不動産流通標準情報システム「REINS」の利用が一般的ですが、他の情報システムとの連携も大きな課題となるものと思われます。

これらの課題を見据えた上で、今年度中にプロトタイプシステムを構築し、来年度に一部の地域で試験的な運用と検証を行うとのことです。
この試験運用と検証の結果を踏まえた上でシステム開発を進め、平成30年度からの本格運用を目指すとのことです。