不動産投資は事業ですから、投資を行う際には必ず事前の収益計算のシュミレーションが必要になります。
このシュミレーションを行うことなく、単に「利回り」だけを見て投資するのは危険ですし、それでは事業とはいえません。
投資用ワンルームマンションの利回りと営業マンの話だけで購入して失敗する人が決して少なくないことを忘れないようにしたいものです。
<キャッシュフロー>
家賃収入からローン返済額と必要経費を引いて出したものが収益となり、いわゆるキャッシュフローと呼ばれるものです。
このキャッシュフローから支払う税額を引いたものが最終的なキャッシュフローになります。
税額が年間の計算になるのでキャッシュフローも年間で計算するのが一般的です。
他所得と合算した最終的なキャッシュフロー
不動産収入の他に給与収入がある場合、両者を合算してキャッシュフローを出す必要があります。
合算の仕方は次のような手順で行います。
1. 不動産事業による年間キャッシュフローを計算します。
(年間キャッシュフロー)=(年間家賃収入)-(年間ローン返済額)-(年間必要経費)
家賃収入を考える場合、単に、家賃×戸数 として計算すると常に満室状態の稼働率100%での収入となり、それだけでは充分なシュミレーションとはいえません。
稼働率100%の計算の他に90%、80%、70%ぐらいまでは計算しておき、その時に収益がどういう状態になるかを把握しておくことが必要になります。
ローンが変動金利の場合は金利が上昇した場合のシュミレーションも必要です。
また、どういう条件下でキャッシュフローが0となるかについてもできるだけ把握しておくようにしましょう。
2. 不動産所得を計算します。
(不動産所得)=(年間キャッシュフロー)-(減価償却費)-(年間必要経費)
不動産所得の計算では、減価償却費が計上できるので所得を低く抑えることができます。
減価償却費は実際にかかる費用ではないため、手元に残る分がそれだけ多くなることになります。
3. 不動産所得と給与所得を合計します。
(合計所得)=(不動産所得)+(給与所得)
給与所得については直近の源泉徴収票を参考にします。
4. 合計所得に対する所得税・住民税の納付額あるいは還付額を計算します。
(納付額あるいは還付額)=(給与所得の所得税・住民税)-(合計所得の所得税・住民税)
減価償却費を計上することによって不動産所得がマイナスになれば、給与所得と損益通算することができるため、源泉徴収で払い過ぎた分の税金の還付が受けられます。
したがって、給与所得による所得税・住民税が合計所得のものを下回れば還付され、上回れば不足分を納付することになります。
5. 1.から4.を引いて最終的なキャッシュフローを出します。