税法上、所得税には「事業」と「業務」があり、両者については明確な線引きがされています。
不動産投資が事業的規模か業務的規模かで、控除額等の扱いも変わってきます。
例えば、青色申告をする場合、「事業」なら10万円控除と65万円控除のいずれかを選ぶことができますが、「業務」の場合は10万円控除の方しか適用されません。
その他にも事業的規模なら認められるが、業務的規模なら認められない規定があり、主なものは次のとおりです。
<事業的規模に適用される優遇規定>
1. 青色申告控除を65万円とれる。
2. 賃貸料の不払いによる貸倒損失が計上できる。
3. 災害による資産の滅失損等が計上できる。
4. 青色事業専従者給与が計上できる。
5. 不動産所得について損失が生じた際に他の所得との損益通算ができる。
6. 事業用資産の買換え特例が使える。
事業的規模と業務的規模の判断基準
事業を有利に展開するためには、事業的規模と業務的規模の判断基準についても充分理解しておく必要があります。
事業的規模にあたるかどうかについては、形式基準と実質基準の2通りの基準をケースに応じて適用して判断することになります。
<形式基準による判断>
貸家の合計が10室以上であれば、形式判断での事業的規模に該当します。
戸建て住宅の1棟賃貸の場合は1戸につき22室として換算します。
<実質基準による判断>
規模が形式基準で満たなくても賃貸収入が大きい場合は事業的規模と判断されます。
主に金額が判断基準となり、管轄税務署への問い合わせが必要となります。
収入・事業形態による判断基準の適用
<給与収入と不動産賃貸収入の両方がある場合>
原則として形式基準で判断されますが、実質基準が適用される場合もあります。
<不動産賃貸収入のみの場合>
原則として形式基準で判断されますが、実質基準が適用される場合もあります。
<自営業収入と不動産賃貸収入の両方がある場合>
他の自営業が事業と判断されていれば、規模にかかわらず不動産事業も事業的規模と判断されます。